睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は10秒以上の無呼吸(呼吸が止まっている状態)が、一晩に30回以上または1時間に5回以上起こることをいいます。
睡眠中の無呼吸により、十分な睡眠が得られないため、熟睡感がなく、日中の眠気が強くなる、集中力が低下するなどの症状がおこります。また、夜間のトイレの回数が増えることもあります。
高血圧、心筋梗塞、脳梗塞などを合併する可能性が高くなり、また交通事故をひきおこす確率も高いといわれています。
肥満などによる睡眠中の上気道(空気の通り道)が狭くなることが主な原因とされますが、鼻の構造や顎の形、扁桃肥大など気道を狭くする要因は他にもあります。
診察では上気道の形態および睡眠時無呼吸の程度を評価することになります。
原因について
無呼吸が生じるのは気道が狭くなるためであり、様々な原因が挙げられます。
肥満や加齢、鼻詰まり、首のまわりに脂肪がついたり、アデノイドや扁桃肥大、顎が小さい、顎が後退していると言った場合も原因となることがあります。
治療
無呼吸低呼吸指数(AHI)が5~20回の軽症~中等度の方は、マウスピースでの治療が可能です。
マウスピースが睡眠時に舌が咽喉に落ちることを防ぎ、気道を広げる役割を担います。
検査の結果、AHIが40回以上の重症の方にはCPAPでの治療をお勧めしております。
これは睡眠時に鼻マスクを装着し、枕元の小型機械から鼻を介して気道に空気を送り込み閉塞した気道の開放を促します。
手術などと異なり身体的な負担はありません。
患者さんによっては鼻マスクの装着に慣れるまでは違和感を覚える場合もあると思いますが、すぐに慣れる方がほとんどです。
CPAP(持続陽圧呼吸療法)装置による治療
CPAP療法は、CPAP装置からホース・マスクを介して、処方された空気圧を気道へ送り、常に圧力をかけて空気の通り道が塞がれないようにします。
SASに対し、現在最も治療奏功率の高い治療法(CPAPを使用した患者様の95%でAHIを5以下に改善)といえます。
長所と短所
長所 | 治療奏功率が最も高い。 |
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短所 | 月に1回の通院経過観察が必要。CPAPではSASの根治は見込めない。 |
CPAP治療の受診について
CPAPは睡眠時無呼吸症候群の重症度基準を満たした患者様に対し、保険診療としての治療が認められている治療法です。
この治療は人工呼吸器に準じた治療器具を用いた治療法であり、適切な治療管理を継続していくために、月に一度のクリニック受診が保険診療の条件となっています。
病気や治療状態の変化を見逃さないためにも、必ず月1回の外来受診を行って下さい。